就任のあいさつ
石巻市国際交流協会 会長 大津幸一
何年か前、はるばるイギリスから初めて日本に来たという青年と出逢いました。話が弾み、来日の理由を尋ねた時、彼がつぶやいた言葉が忘れられません。“To expand my horizon” 「自分の地平線を広げるため」・・・ちょっとキザとも思える文言ですが、なぜか今でも折に触れて思い出すのです。
私たちの協会はボランティア活動であり、海外の人々との交流を通じて地元・石巻をより豊かに、そして多文化共生社会の実現に向けてさまざまな活動を展開するのが主たる目的です。しかし、同時に、活動を通じて自分の地平線を広げる、つまりより高い視点から物事を捉えるということが副産物としてあるのではないでしょうか。
12年余りにわたり身を粉にして尽力されてきた久我恵美子前会長の後を受けて、このたび会長に推挙された私ですが、その重責に身の引き締まる思いです。
もし、会長としての抱負を問われれば、次の3つがあげられると思います。
一つは、若い世代への勧誘です。言い換えれば、若い人々がぜひ参加してみたいという活動を企画することです。「コロナ禍」に見舞われる前、豪華客船が石巻に入港した際に、石巻高校の生徒有志が街頭に立ち、外国人客に英語で案内をするというボランティア活動をしたことが話題となりました。教室で学んだ英語を実際の場面で試してみる・・・それは自分のためであり地域社会のためである・・・その場に居合わせた私には、若者たちの目は実に生き生きしていた記憶があります。
二つ目は、これまで築いてきたチュニジア共和国との絆を大事にしつつも、もっと広くさまざまな国を対象に考えてもいいのではないかと思う次第です。1か所か2か所、ご縁があったらその土地の歴史や文化を吸収し、こちら石巻の風土を伝える・・・そうした交流を盛んにすることにより、長年培ってきたチュニジアとの友好関係も生きるのではないでしょうか。
最後は、当然のことながら、会員それぞれが英知と技量を持ち寄りながら一緒に作り上げてゆくという基本姿勢です。“Let’s”の考えとでも言いましょうか。誰か他の部署で考えたものに協力を惜しみないということ以外に、時として自分が主体的に関わることも重要だし、会員である以上、誰しもがそのような資質を持ち合わせていると信じています。
以上のような考えのもと、皆さんが「入会してよかった」「得るものがあった」と思える集まりになるよう微力を尽くす所存ですので、よろしくお願い申し上げます。